ペットが遺産相続することは可能か?
ペットが財産を相続することは出来るでしょうか?
結論的には出来ません。
なぜなら相続権が認められるのは、人格を有する自然人と法人に限られるからです。
自然人とは、私たち生まれながらに人格を有する人間を指します。
法人とは、法により人格を与えられたもの・・・一部の例を挙げると、人の集まりに法人格を与えたものが社団法人、財に法人格を与えたものが財団法人と呼ばれます。
よってペットは人格を有しないので遺産を相続することはできません。
しかしペットを我が子のように可愛がっている方にとって自分の死後のペットの幸せは何より重要な問題のはずです。
そこでペットの世話を条件として財産を承継した者を弁護士や行政書士が遺言執行者として監督する方法はないかと考えていたところ、考えることは皆同じのようで、既に事業として展開されている分野のようです。
一つは「負担付遺贈」、もう一つは「ペット信託」と呼ばれる方法があります。
一つ目の負担付遺贈とは特定の負担を負うことを条件に財産を譲る旨の遺言を遺す方法です。
この場合、負担=ペットの世話という義務になります。
仮に受遺者が財産だけ受け取って義務を果たさないような場合は、遺言執行者が遺言の取消しを家庭裁判所へ請求することができます。
もう一つの「ペット信託」というのは個人的に面白いと思うのですが、
「受託者」「受益者(新飼い主)」「信託監督人」となる者を定め、新しい飼い主となる受益者に、遺産を託された受託者が飼育費や報酬等を支払い、これらを信託監督人が監督するという方法です。
元の飼い主である委託者が、これらを遺言で定めます。
ペット信託は、最近では事業としても広く展開されている分野で、受託者を業務として行っている信託銀行や法人等も存在するようです。