「遺言執行者」とは、読んで字のごとし「遺言を執行する者」のことです。この遺言執行者は、私としては遺言において最も重要な要素の一つと考えます。
【遺言執行者を選任した場合と選任しない場合】
遺言執行者を選任していない遺言書での相続は、基本的には相続人全員の話し合いにより、遺産分割の内容を決定します。つまり納得しない相続人が1人でもいれば遺言通りの相続手続きが進められないことになります。
逆に遺言執行者が選任されている遺言書がある場合は、遺言者の遺志は絶対であり、その遺志の執行を任された遺言執行者は、相続人の意思に関係なく単独で遺言書の内容を実現することができます。
よって遺言執行者を定めていない遺言書とは、最終的にはあくまで相続人の意思に委ねることになるため、遺言の存在意義としては「遺言者の希望を伝える」という意味合いが強くなります。つまり遺言の内容をしっかり実現してほしいという場合は、遺言執行者を選任しなければ、せっかく作った遺言書が、その役割を果たすことが困難となる恐れがあるのです。
【遺言執行者のススメ】
よって弊所で遺言書の作成をサポートする場合、基本的には遺言執行者を選任することを強くお勧めしております。仮に遺言執行者を選任していても、結果的に相続人全員が遺言と違う内容で相続を進めたいと考えるのであれば、遺言執行者はその内容で相続を行うことも可能であるため、柔軟な対応が可能となります。
【誰を選任すればよいのか?】
では遺言執行者には、誰を選任できるのか?という問題ですが、特別な定めはありません。
よって専門家に遺言作成のサポートを依頼する場合などは、その専門家にお願いすると良いと思われますし、自分一人で遺言を作成する場合は、相続人のうちから信頼できる相続人を選任すれば良いと考えます。